フィンランド人の人名は,ヨーロッパの慣習に従って,Mikko Korhonen (ミッコ・コルホネン) のように名前+姓の順番にするのが正式である。日常生活での呼称として,名前 (ファーストネーム) を用いるのもヨーロッパの習慣である。以前,フィンランドの国会議員団の通訳をしたことがあったが,国会議長も含め団員たちが全員,お互いをファーストネームで呼び合い,しかも,議員団に加わっていない他の議員のうわさをするときにも同じようにしていたのが,印象に残っている。
面白いことに,名前は単独に用いられるとちゃんと格変化するのに,「名前+姓」 を格変化させると,Mikko Korhosen (属格), Mikko Korhoselle (向格) のように,名前の部分は不変化となり,姓の部分しか格変化しない。これは,称号のときも同じで,professori Korhonen 「コルホネン教授」 を格変化させると,professori Korhosen (属格), professori Korhoselle (向格)などとなる。
また,話しことばでは,Korhosen Mikko のように,姓を属格にして名前の前におく言い方がなされることがあり,もともと 「姓+名前」 という語順をもっていた名残だろうと言われることもあるが,本当のところはわからない。