スネルマン像 (1923)

19世紀のフィンランドの愛国的思想家で哲学者のスネルマン (Johan Vilhelm Snellman, 1806-81) の銅像 (Emil Wikström 作, 1923)は,大聖堂の裏手,スネルマン通りに面したフィンランド銀行 (1882) の正面にあります。[1997/02]

J.V. Snellman © 1997 by Kazuto Matsumura

現在の100マルカのお札には,シベリウスの肖像が印刷されていますが,1980年代の中ごろまで使われていた旧100マルカ札の肖像はスネルマンでした。お札に聖徳太子の肖像が印刷されていたころ,1万円札のことを 「聖徳太子」 と呼んだものですが,かつてのフィンランドでも 「スネルマン」 が100マルカ札の意味で使われることがあったという記憶があります。

スネルマンはスウェーデン生まれで,もちろんスウェーデン語系ですが,当時のフィンランドの愛国的な知識人の多くは,スネルマンやルーネベリのようなスウェーデン語系の人々でした。彼らは,スウェーデンともロシアとも区別されるフィンランドのアイデンティティー形成の拠り所として,フィンランドの多数派であるフィンランド語系の住民の文化に注目したわけです。

更新日: 2005/08/29