© 2005 by Kazuto Matsumura

フィンランドの言語事情


フィンランドでは,憲法において,フィンランド語とスウェーデン語の2つを 「国語」 (fi. kansalliskieli, sw. nationalspråk) と定めているほか,フィンランド固有の言語として,サーミ語に対しても,サーミ語が話される市町村における地域的な公用語としての地位を与えている。

フィンランド語 (fi. suomi, en. Finnish)は,ウラル語族フィン・ウゴル語派バルト・フィン諸語に属する言語で,話者人口は約 500 万人,フィンランドの人口 520 万人の 92% (479 万人) が母語とする (2002)。

スウェーデン語 (sw. svenska, fi. ruotsi, en. Swedish)は,インド・ヨーロッパ語族,ゲルマン語派,北ゲルマン諸語に属する言語で,いわゆる北欧語の1つ。スウェーデンの国語で,話者人口は約 800 万人。フィンランドでは,29 万人 (フィンランドの総人口の 5.5%) がスウェーデン語を母語とする (2002) が,フィンランド・スウェーデン語は,とりわけ音韻と語彙において,スウェーデン本国のスウェーデン語とは,異なる規範をもっている。

フィンランド語を母語とするフィンランド人を「フィンランド語系フィンランド人」,スウェーデン語を母語とするフィンランド人を「スウェーデン語系フィンランド人」(sw. finlandssvenskarna, fi. suomenruotsalaiset) と呼ぶ。スウェーデン語系フィンランド人は,フィンランド社会において少数派であり,スウェーデン語優勢の地域以外では,スウェーデン語とフィンランド語の二言語併用を日常的に行っている人が多い。

ヘルシンキでは,フィンランド語とスウェーデン語の両方が公用語である。このことは,たとえば,道路の名称が,フィンランド語とスウェーデン語の両方で表示されていることでわかる。また,公共交通機関の時刻表や料金表も2つの言語で書かれているし,たとえば市電の天井から下がっている次の駅を表示する電光掲示も,フィンランド語の表示とスウェーデン語の表示が切り替わる。

フィンランド憲法では,フィンランド語,スウェーデン語,サーミ語に加えて,ロマニ語とフィンランド手話もフィンランド固有の言語として認定している。

参考


更新日 2009/10/09